思い起こせばハーレーカスタム最後の年。
骨折をメイクしながら参戦。
自分のハーレーは一台だけ。
それでも自分の背丈に合ったものを観て欲しくて何枚ものスケートデッキをブースに飾った。
その時ちょうど超有名カスタムペインター様もブースにスケートデッキなどを展示していた。
今でも忘れない。
骨折してギャグで担架を用意してくれていたのでそこに横になってたら、そのペインター様が仲間を率いて見下ろすように…
「なになに〜次はスケボー屋さんでも始めるの〜〜っ?」て仰られまして…
「スケボーで骨折したから丁度良いでしょ〜〜w」と答えたが…
内心、馬鹿にされたのは今でも覚えてる。
確かに、その方に比べれば技術も経験値も少なかったから自分の背丈に合った内容だったのだろう。
地元にスケボーショップを構えキャバレロを呼び高円寺のスケートシーンを盛り上げようとしてた先輩に頂いたデッキ。
その方にプレゼントする為に描いたものだった。
差し上げたら…
「なんかプレゼントされ返しちゃって本当に嬉しいよ!」と言ってくれて、オーナーであった夜のバーに飾ってくれていた。
それも歴代のビンテージデッキと共に。
飲みに行って誇らしげに飾ってあるデッキを観て、諦めたハーレーカスタムの世界とこれから生まれてくる娘を想うと何とも情けなくなり、店を飛び出し松葉杖をつきながら酒を買いに行った。
何が間違いだったのかな?
7年も続けて10台造って売れたのは半分だけ…
僕の背丈だ。
「自分の背丈に合った事をしなよ!」
僕の大好きな心の師匠はそう言ってくれた。
守った。
見栄なんか張らなかった。
カスタム屋オープン当初からのお客様が地元に戻り店を出します、儲かったら送りますからバッチリカスタムしてくださいね!と、言い残して…
カスタム屋を辞めて自転車にのめり込む毎日、自転車の色を塗ったりレストアしたり、BMXを始めて昼間はサラリーマン。
そんな何年か経ったある日…
メールが…
「お待たせしました!フルカスタムお願いしますよ!O/Hしてもらったエンジンは未だにオイル一滴も漏らさずに快調ですよ!」
あぁ…
間違えてなかった。
この手が、この頭の中を形にして誰かの笑顔を作っていたんだ。
今でもそうだ。
心の師匠はいつも言っていた。
「情熱だろ?」
こうやってまたカスタム屋をやり始めそろそろ2年が経とうとしてる。
ハーレーカスタムの時とは打って変わってお客様の数も自分の力量も増し、支えてくれる家族も増えた分だけ成長しているのかも知れない。
ここは大都会でも無い、雑音も入らず淡々とモノづくりに打ち込める日々。
あの時言われた悔しいセリフは今でも僕の情熱の灯を燃やし続けてくれている。
自分が行なっている自転車のカスタムなんて世界がシーンとして盛り上がっていくか?
ピストがまた流行ってしまうのか?
そんな事も全く気にならない。
気になるのは目の前のお客様の声と、それに応える事のできる人間になりたいと思っているかだけ。
当店のサポートライダーでありながら客を一人も呼べなくたって、彼が自転車を通じて彼の世界がどこまで広がるのかに興味が湧き、サポートしたいと思った。
彼は毎月履くこともないスニーカーばか理を、買い漁り友達も少なく引っ込み事案な少年だった。
今では昼も夜もアルバイトしながら大学に通い、BMX仲間もできピストも乗り回したくさんの大人に可愛がられている。
来年は留学すると言い出し、BMXも持っていくと言い出す程にアクティブになった。
人を応援できる立場でも無いけどできる事はしてあげたいと思った。
時間にルーズで、人の話も聞いてない、それでも彼の真っ直ぐな性格に何処か昔の自分を感じたのかな…
きっと知り合った頃のガキだった(今でもかなw)僕にたくさんの言葉と作品で魅せ続け今もなお魅了してくれてる心の師匠の言っていた事は間違いでは無かったと確信した。
自分の持ち歩いている第1号栓抜きの裏にはまだ言葉が入ってないけど、もう決めた言葉を近々打ち込もう。
【PASSION】
さてさて今夜も朝から晩まで店が開けられて作業ができる、仕事がある事に感謝です(^.^)